Dimension Force

〜異元対偶〜

あとがきとして

 

 期末テストも無事乗り越え、宿題の無い夏休みという大学生の特権的な季節がもう目前まで近付いている。
 あれからこのかと二人で謝り倒して、何とか前森さんから許しを得たのだが、やはり以前に比べると明らかに距離を置かれている感が否めない。
 件の亡霊に関しては、司様が全く害の無い残りカスだと仰った事から、神社庁では完全スルーという方向で自体は収束した。というか、結局無かった事にされた。

 あの日からこのかは司様にべったりで……いや、前々からこのかといったら口を開けば司様司様と、そんなに好きなら結婚しちゃえよとか言いたくなるくらいの司様マニアだったのだが、それに輪を掛けて司様に愛を振りまいている。
 一方で、その無償の愛を押し売りされている方はそこはかとなくうざったそうな顔をしているが、押し売りしている方はお構いなしだ。
 これで仲が良いのだから、日本は平和なのだろう。
 そんな一柱と一人をよそに、俺は神と人間の関係性というタイトルの論文を計画し、暇を見つけてはその資料集めに奔走するようになっていた。
 別に今から始めなくても卒論まではまだまだ時間があるのだが、今始めておかないといざという時に忘れているなんて言う事になりかねない。まあ、善は急げというやつだ。
 きっかけは勿論、あの日の帰り道に司様が仰った言葉である。
 神霊との交わりを為せる者。即ち交霊術士の減少と、それに伴う神と人間との関係性の希薄化。その問題点。
 何だかこういう小難しい事を考えていると、自分が大学生なんだなぁ……なんて思ったりもする。
 古来より、存在する次元こそ異なっているものの、お互いをパートナーとして生きてきた神と人間。
 その人間が神を忘れるなんて、正直俺にはまったく現実味が無い事に思えるのだが、もし神を必要としない世界になったとき、人類はどういう未来へと歩んでいくのだろうか?

 開け放たれた障子から、青嵐が吹き込む。
 外を見遣れば、世界で一番仲の良い神様と人間のペアが、楽しげに語らっている姿が目に飛び込んで来た。
 願わくは、この幸せな光景が未来永劫続かん事を。


 Dimension Force −異元対偶− 了

 

 

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